感想①の続き
美織さん
初舞台とは思えない出来映え。舞台上で役を生き抜く度胸、凛と透き通る歌声、魅力的なタンゴと立ち振る舞い。舞台をやる上での資質と素養を兼ね備えていて、一言で言えば舞台映えする女優さん。てっぱんの演技に惹き込まれ「なんだ!このすごい子は!」と思った時の感覚を思い出しました。役柄にも恵まれたと思います。歌える・踊れる・声通る。この事が今回認知されて今後は舞台のオファーが増えるんじゃないでしょうか。そして元々のイメージを壊す「娼婦」を演じきったことで、役の振り幅も大きく広がりご自身の自信にもつながったことと思います。
ここから少しだけ辛口を。
「初舞台としては」には意味があって、今回の舞台は今までの美織さんを知る人には充分なインパクトがありました。でももう2度目は使えないカードです。バンドデビューも、時代劇でのくノ一役も、民放で髪を一気にショートカットにした時も、ある種のインパクトがありました。観る側は貪欲なもので、もっと強いインパクトを欲しがるようになります。じゃあもっと下衆な娼婦の役をやるか?その方向で行くと、いつかネタがつきます。またインパクト強い役は演技力をごまかしやすいものです。衣装やメイクに眼を向けさせるだけで演技力不足を補えるし、ましてや美織さんはメイク一つで印象が変わる人。まだまだチャレンジしていないカードが残されていると思いますが、微妙な心情の違い、白黒ではなくてグレーゾーンをもっと表現出来る女優さんになって欲しいです。今回の舞台で「姉さん」を美織さんが演じてたらまた全然違うものになったかもしれません。松本まりかさん、良かったです。
これは舞台を経験する前からすると、確実に1ステージ上がった美織さんへの期待です。数ヶ月前と比べたら、とんでもなく前へ進んでいるはず。伸びしろのある大好きな女優さんですから長く良い作品に携わってほしいと思っています。